【コダック／シグネット35 Kodak Signet 35】

発売年 1951-58年
発売時価格 $95
生産台数 ?台
レンズ Kodak Ektar 44mm/F3.5
シャッター Kodak Synchro 300 (B,1/25〜1/300)

1950年代のアメリカンデザインが特徴的なシグネット35です。いかにも、アメリカンなスタイルで、ミッキーマウスというニックネームをつけらています。前回に紹介したドイツ製カメラに代わって、第二時大戦中からコダック社はアメリカ国内でも大衆向けカメラの製造を始めました。コダック社の自社生産の最高級レンズにつけられるエクターという名前のレンズが付いています。最短撮影距離は2フィート、60cm。距離計も付いていて、ファインダー内で三角形の二重像を一致させます。ボディはアルミで作られてしっかりしています。
上の写真バルブ電球のフラッシュユニットをつけたもの。うん、かっこいいです。役には立たないけど。（笑）フラッシュ接点はオリジナルの形なので、現在のフラッシュはつけられません。

コダック・ロチェスター工場製のレンズはシリアルナンバーの先頭2文字のアルファベットで製造年が分かるようになっています。C･A･M･E･R･O･S･I･T･Yがそれぞれ1･2･3･4･5･6･7･8･9･0の数字表してる、との事｡ このカメラはRRだから'55年製って事になります｡ ちなみにニューヨーク州ロチェスターは、 コダック社の創設者であるイーストマン・コダック氏の出生地であり、 現在でもコダック社の本社や多数の工場、関連会社があります。

上から見るとやはり完全なシンメトリックなデザインです。左から巻き上げノブ、フィルムカウンター、巻き戻しノブ。ただし、フィルム巻き上げとシャッターチャージは連動していません。シャッターチャージはレンズ横のレバーで行います。よくチャージするのを忘れます。

裏蓋には露出用の簡易露出指標があります。コダックの当時のフィルム、天気などをあわせると、絞りとシャッター速度が分かるようになっています。クリック付きのアルミ板で作りはかなり凝っているのですが、実用性は？

シグネット35はかなり長い間生産されていたので、いくつもマイナーチェンジがあったようです。これのカメラの裏蓋についているフィルム圧板は黒になっていて、カラーリバーサルフィルムに対応した後期モデルなのです。

当時のマニュアルです。本体と一緒に手に入れました。見ているだけで楽しくなります。フルカラー印刷でコストをかけています。
日本のカメラ屋で買うと非常に高い値段がついていますが、アメリカのebayだとガラクタとしてかなりやすく手に入ります。ただ、壊れているものが多いので難しいところ。ファインダーの曇りは分解清掃で簡単に直りました。ただ、シャッターユニットが弱いのが困りもの。シャッターユニットに隙間からベンジンをたらしてなんとか復活しました。レンズ以外のところに問題を抱えてしまうのは、レチナと同じく大衆機の宿命のようです。
噂のエクターレンズですが、相当いいレンズです。意地悪をして、夕焼けをもろに太陽を入れて撮っても、出来った写真にはフレアもなくシルエットの潰れもなくてかなりシャープに撮れます。見た目も素敵でレンズは高性能、距離系内蔵でピント合わせも簡単。シャッターが壊れていなければ、十分に実用できるクラシックカメラです。整備も比較的簡単なのでレストア入門にもいいかもしれないです。

【関連するＨＰ】
ＡＲＭＯＲＥＤ ＰＵＭＰＫＩＮ！　こちらのHPにシグネット35の修理について書かれたコーナーがあり参考にさせていただきました。
Nancy and Walker's Scrapbookの軍用シグネット35の写真　シグネット35はアメリカ空軍と陸軍に採用されたようで、外装の色を変えたブラックペイントモデルとオリーブペイントモデルがあります。相当かっこいいのですが、やはり値段が高いですね。ebayにもたまに出品されますが、見ているだけです。（笑）

終わり