『第4回』フォクトレンダー/VSL1 TM
Voigtlander VSL1 TM


【フォクトレンダー/VSL1 TM Voigtlander VSL1 TM】

発売年 1974-76年
発売時価格
生産台数 33,000台
シャッター 横走りフォーカルプレーンシャッター (B,1/2〜1/1000)

フォクトレンダーは世界最古の光学機器メーカーといわれており、18世紀にウィーンで誕生しました。その後の買収や経営権の譲渡などによっていろいろとあり、現在の日本では、コシナがフォクトレンダーブランドのレンズやカメラを生産しています。このカメラは1970年代に、ローライが商標を持っていたころの製品で、カメラにもレンズにもMade in Singaporeと書いてあります。この当時、ローライ社は西ドイツのツァイスからカメラ事業を譲り受け、コストダウンのために工場をシンガポールに移していました。フォクトレンダーは1960年代に西独ツァイスと経営統合していたために商標はツァイス、ローライという順に移り、結果としてローライがフォクトレンダーブランドのレンズやカメラを復活させたのでした。

マウントはM42といわれているネジ式マウントです。マウント下右側にあるピンを押し込むことでレンズが絞り込まれて、TTL絞り込み測光ができます。しかし、このカメラは露出計が壊れています。上のピンは純正レンズのねじ込み位置を決めるためにあります。この写真では見えにくいのですが、正面のロゴの"tla"の上あたりに透明な窓が開いています。実はファインダー内で絞り値を直接読めるようになっているのです。ニコンのSLRはペンタ部がマウントの上まで張りだして、レンズには小さいな絞り値の数字をわざわざ別に書いていますが、このVSL1はそのような細工なしで直接絞りリングの数字が見えるような仕掛けをしているようです。ただし、純正ではないレンズの場合は、レンズの絞り値が書いてある場所がレンズによって違うので無理ですが。

上にはTMというネジ式マウントの印が書いてあります。全く同じデザインでローライQBMマウントのVSL1 BMというカメラもあります。巻き上げレバーの下のダイアルがシャッター速度、左側のダイアルがフィルム感度設定。フィルムカウンターは上ではなく背面にあります。このカウンターは非常に凝っていて、フィルムを巻き戻すとカウンターの数字も一緒に戻るようになっています。

横か見るとスマートなペンタプリズム部が特徴的です。レンズの絞り値をどうやってファインダー内に入れているのか、ちょっと不思議なのですが、かなりの工作精度が必要だと思います。ストラップの取り付け位置が中途半端で使いにくいです。ファインダーはマットで中央部に斜めスプリットが入っています。日本製のカメラでは斜めスプリットは見かけませんが、ドイツ製だと一般的のようです。最近のカメラと比べるとさずがに暗いですが、割と見やすいスクリーンだと思います。

サイズが大きく重いのですが、シャッターショックは少ないです。純正レンズはColor-Skoparex 35mm/f2,8、Color-Ultron 50mm/f1.8を持っています。レンズのインプレッションは次のページで。純正交換レンズを使うと開放測光できます。それ以外にもM42マウントのレンズは絞り込み測光で使用できるらしいです。ただし、一部にレンズの後端がミラーにあたるものもあるらしく注意が必要です。

【レストアメモ】

このカメラはebayでドイツのセラーから購入しました。送られてきたときは、巻き上げてもシャッターがチャージされず当然ミラーも上がらずシャッターも開かないという症状でした。ダメ元でボディーの下蓋をあけて、1つだけ動きが悪い部品のところにベンジンを垂らしたら、なんとあっさりと使えるようになってしまいました。蓋を留めるのに普通のネジは使っていません。両端にある六角形のネジをラジオペンチでていねいに廻しました。電池蓋は元から付いていませんでした。

両端2カ所のネジを外して下蓋を開けたところ。中身は普通の一眼レフです。右図の赤い矢印の部品が動かなかったので、ベンジンを垂らしてみたところ、すぐに直ってしまいました。ラッキー!


【関連するHP】
オフィスヘリア 佐々木さんのホームページ フォクトレンダーに関する本を出版されている研究家の方のHPです。歴史を分かり易く書かれています。

Global RolleiClub(英語) ブランドは違っても中身はローライ製なので、ローライのファンサイトにも紹介されています。Rollei 35mm SLR camerasのコーナーをご覧下さい。

株式会社コシナ 日本でのフォクトレンダーの商標を持っている会社で、交換レンズやレンジファインダー、一眼レフカメラを生産しています。フォクトレンダーの歴史も記述してあります。



レンズ編に続く(準備中)




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